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クリエーターの脳内思考を垣間見せるブログです!

【アニメ・映画】宮﨑 駿 「君たちはどう生きるか」考察3・「大伯父様は高畑 勲」これ以上の比喩は思いつかない!

 さて、「君たちはどう生きるか」勝手に考察も第三弾となりました!

 

 毎回、言っていますが、誰の考察も見ないで、自分勝手に考察しているので、その辺はご理解ください。

 

 考察、第三弾にして「大伯父様」の考察ですけど、もう、タイトル通りです!

 

 「大伯父様」は「高畑 勲」監督が比喩されたものだと思います!

 

 …というよりは高畑 勲を中心として宮﨑 駿がリスペクトする東映動画時代の先輩達と表現する方か近いかも知れません。

 

 まあ、それにしてもほぼアニメ人生を共にした高畑 勲 とジブリで色彩担当をされていた保田 道世 先輩が殆どをしめるとは思うのですが…w

 

 そして、有名な事ですが、両者の不仲も有りました。

 

 そもそも、その不仲の始まりは、ジブリ創設をして直ぐ「風の谷のナウシカ」の完成試写会の場で、高畑 勲 監督に30点という落第点の評価をされて、大泣きしたエピソードから宮﨑 駿との不仲が始まったと言う事ですが。

 

 だから、ジブリ創設してすぐから始まった、長い長い不仲の間柄、同じスタジオに居ても疎遠になって、話しのやり取りをするのにしても、鈴木敏夫プロデューサーを介してする程の犬猿の仲になってしまったものの…

 

 高畑 勲が他界する前には言葉を交わすぐらいには仲直りはしていたようです。

 

 しかし、長らく疎遠状態に有った時期でも宮﨑 駿にとっては、一番に影響を受けて、尊敬する存在は高畑 勲だったのだと思います。

 

 東映動画時代に「太陽の王子 ホルスの大冒険」へ宮﨑 駿を引っ張ってくれた高畑 勲は大恩人であり、それ以来、二人三脚でスタジオジブリの立ち上げまでやってきた、そんな高畑 勲を心底から嫌う事は無かったでしょうね。

 

 

 まあ、天才が天才に嫉妬するような感じも有ったのかも知れません。

 

 なので、アニメ「君たちはどう生きるか」が宮﨑 駿の自伝的アニメなら、当然、高畑 勲も登場しますし。

 

 それに見合うだけのキャラクターが必要になります。

 

 だから、そう考えると登場するキャラクターで高畑 勲に見合うキャラクターは…?

 

 …ってなった時にすぐ脳裏に浮かぶキャラクターは「大叔父」しか思い浮かばないんですよ。

 

 そう考えて「大叔父(高畑 勲)」が体験してきたアニメ史の回想を考えて行くと。

 

 実際に日本アニメの創世記に起きていた出来事などをオーバーラップしていって、劇中のエピソードの比喩表現に当てはめて見るとします…

 

 …例えば、あの大叔父が建てて、廃墟になってしまった出来事の経緯を日本のアニメ史と重ね合わせるとどうなるか…

 

 突然に降って来たあの巨大な隕石は何の比喩だったのか…そして大叔父がなぜその巨大隕石を建物で封じ込めようとしたのか…

 

 そうすると、あの巨大隕石は日本アニメ史における戦後の最大のアニメの黒船!ウォルト・ディズニーの「白雪姫」が思い浮かびます。

 

 

 こんな作品を86年前に目の当たりにした人達は相当な衝撃を受けたはずです。

 

 ハッキリ言って、2023年の現在に毎日のように放送されているTVアニメよりも、遥かに86年前に制作された「白雪姫」の方がアニメとしてのクォリティは実際に高いんですよね。

 

 そんな作品が、まだまだアニメも普及していないアニメ発展途上国の日本ですから、その衝撃たるや計り知れないないものが有ったはずです。

 

 本当に、あの澱みの無いモーションで表現されている「白雪姫」が与えたインパクトは、今、考えても想像を絶するものだったのでしょう。

 

 その辺りの表現を大叔父たちが孤軍奮闘した末に巨大隕石を封じ込める事が出来ずに建物が崩壊するという形で表現されていたのではないか…っと考察します。

 

 実際に、高畑 勲を含め、日本の戦後アニメの先駆者たちが何とか「白雪姫」のようなクォリティのアニメを我が物にしよう…

 

 そう願って、涙ぐましい努力を重ねた結果…追いつく事すら出来ずに断念してしまった…

 

 それをアニメ「君たちはどう生きるか」で大叔父が作った世界が亡国化しつつある部分と重なるように思います。

 

 まあ、ハッキリ言って当然と言えば当然!

 

 無傷の戦勝国アメリカと国土壊滅からの復帰途上の日本の経済格差は大きいし、アニメなどの子供のお遊びに対する日本経済界の考え方の違いが、立ちはだかり、無念の挫折を味わったのでしょう。

 

 その辺りの有様をアニメ「君たちはどう生きるか」で表現したのが、大叔父たちが巨大隕石を建屋に封じ込めようとして、封じられずに崩壊させていた、あのシーンで表現されていたのだと考察します。

 

 大叔父の希望を乗せた世界が黄昏をむかえつつある状態で、大叔父の意を介さず勝手にやりたい放題に暗躍する「鳥」たち…

 

 そして、僅か、本当に僅かだけど大叔父の世界には残された理想のアニメが、新たなかたちで育まれて、眞人の住む世界へステージを移す…

 

 次は大叔父が育んだ「アニメの理想象」そして、崩壊し始めた大叔父の世界から「新たに生まれたアニメの理想像」の考察をしてみたいと思います。

 

 高畑 勲 監督の功績を称えたい皆様とシェアできたら幸いです。