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【アニメ・映画】宮﨑 駿 「君たちはどう生きるか」考察5・「インコ大王は眞人と大叔父の大敵であり日本サブカルチャーの始祖」

  さて、少し間が空きましたが、今回もアニメ「君たちはどう生きるか」の考察を誰の考察も見ず、公式見解も見ないで、勝手に個人的に考察していきます!

 

 今回もそう言う事なので、何卒宜しくお願い致します!

 

 それでは最初に前回、眞人の世界と大叔父の世界を繋ぐ存在を話しをしましたが。

今回はその二つの世界大叔父の世界の崩壊について考察していきたいと思います。

 

 その前に眞人の世界と大叔父の世界の二つの世界の「時間」について定義付けを確認しておきたいと思います。

 

 実は「時間」というか「時間経過」が二つの世界ではちょっと違います。

 

 眞人の世界は「過去>現在>未来」へと時間は流れて行く我々の世界と類似したかんじです。しかし大叔父の世界では時間そのものが混沌としていて、過去の出来事が、現在の時間へ直結していたりします。要するに時間経過のタイムラグがありません。

 

 例えば、過去の出来事が現在へすぐに影響を与えてしまう…と言う事ですね。

 

 そのタイムラグを踏まえて、宮﨑 駿、 高畑 勲 に実際に起きた過去の出来事が、現在の宮﨑 駿の心境に直接影響を与えた実話の比喩がアニメ「君たちはどう生きるか」で表現されています。

 

 この辺りの事を考察して行きたいと思います。

 

 まあ、宮﨑 駿 の頭の中の世界の話しですから、時間経過などは都合よく、分かりやすく省略されていたり、大叔父の世界が平行世界へのハブ的世界だったりと、いろいろと都合よく二つの世界を結び付けて、自分の人生を表現されている部分が有りますので、ちょっと考察も分かりにくくなるかも知れませんがご了承ください。

 

 先にも書きましたが、眞人の世界は我々の世界を模しているので時間経過は我々の常識的感覚で流れていると理解できます。

 

 一方、大叔父の世界は「混沌の世界」なので常識がカオスで少々説明が必要になって来たりします。

 

 劇中の後半、大叔父の世界で起きた大事件が、その混沌を象徴する出来事になっています。

 

 その出来事というのが「インコ大王」が引き起こした大事件です。

 

 大叔父の世界は理想を求めて、叶わずに迷走状態でした、その隙を縫って「インコ大王」がやりたい放題で大叔父の世界の混沌を更に迷走させていました。既に、それを修正する力も大叔父には無く迷走が迷走を呼ぶ収拾がつかない状態で終焉を待つだけの状態です。

 

 そんな大叔父が最後に自分の出来なかった事(積み木)を眞人へ受け継ごうとした所へインコ大王が現れて、受け渡されるべき事(積み木)を打ち砕いしまってなのです。これで完全に大叔父の世界が崩壊しはじめた…というあのシーンです。

 

 アニメ「君たちはどう生きるか」を既にご覧になった方なら「ああ!あの事件ね…」と回想された事と思いますが。

 

 そのインコ大王がしでかした大事件が原因で大叔父の世界は崩壊を始め、眞人やヒミ、キリコやアオサギ男が崩壊に巻き込まれないように、眞人の世界、或いは、母のヒミ(ヒサコ)や若きキリコが本来の自分達が存在する平行世界へとのがれました。

 

 ヒミの平行世界は眞人の世界とタイムラインが違うので描かれていませんので、省くとして、眞人の世界に絞って考察しますと。

 

 実は「インコ大王」がしでかした大罪とも言うべき大事件は眞人が存在する時点の世界に対して何十年もの過去の出来事なんです。

 

 先にも書きましたが過去と現在のタイムラグが無い形でアニメ「君たちはどう生きるか」で表現されている部分はこの部分です。

 

 このインコ大王がしでかした大事件を宮﨑 駿 と 高畑 勲に実際に起きた出来事(大事件)に置き換える事で、この大事件が何十年も前の出来事だと解釈できるんですね。

 

 宮﨑、高畑が東映動画時代に起きたその大事件とインコ大王の大事件の表現がリンクすると考察できます。

 

 その実際に起きた大事件とは。日本初のTVアニメ制作について某TV局と高畑 勲など東映動画との間で交渉が進められていたという事実が有りました…

 

 高畑らが東映動画に在籍していた当時、アニメと言えば映画館で上映されるものであって、大人数で制作して、完成すれば、多くのアニメーター達は次のアニメ映画の製作が始まるまでは失業状態になります。その問題に対して対策を考えられていたのです。

 

 しかし映画会社にしてみれば、大人数で制作費もかかるアニメ映画の製作はそんなに頻回にできる事ではないと言うのが現実だったんですね。

 

 そこで考えられた対策が、TVアニメで次の劇場アニメが決定するまで多くのアニメーターを養う…と言う方法でした。しかし某TV局との交渉で、週一での放映を希望するTV局に対して、高畑たちは、アニメのクォリティとそれにかかるアニメーターへの負荷を考えれば。週一放送は無理と言うのが結論でした。なので何とか放映期間もっと長くしたい…っと交渉していたんです。

 

 そして、TV局との交渉がまとまりかけたその時、突然!インコ大王がアニメ制作に立ち上げたインコプロがその交渉の間に割って入って来たのです。

 「私たちなら一週間で出来ます」とTV局の希望を丸飲みして、高畑たちから日本初のTVアニメ制作を横取りして行った……そう言う出来事が実際、過去に有ったんですね。

 

 「日本初のTVアニメ」ここまで書けばインコ大王が誰なのか、お分かりになる方も居られるのではないでしょうか?w

 

 大叔父の世界を自分勝手な思い込みで良いように荒らしていた「インコ大王」が誰の比喩なのか…w

 

 実在のインコ大王が誰なのかは書きませんが、間違いなく日本のサブカルチャの第一の功労者である事は間違いない存在です。

 

 

president.jp

 

 その後、インコ大王のアニメは完成し放映されたのですが、その「日本初のTVアニメ」を目にした高畑と宮﨑は愕然としたそうです…「まるで紙芝居だ…」っと。

 

 ディズニーの「白雪姫」という巨大黒船を目の当たりにした人たちにとってはそうだったのでしょう。

 

 インコ大王も「白雪姫」を見た一人です、しかし、日本初のTVアニメの製作を手中に納める為にアニメのクォリティを捨てたんですね。その事について宮﨑 駿は今まで大激怒していたんです。

 

 それは、もともとアニメ界に居なかったインコ大王だからこそ、踏み越えられた一線だったのでしょう。宮﨑 駿、高畑 勲には絶対に越えられない一線です。

 

 その出来事が長年、許せなかった宮﨑 駿 でしたが、アニメ「君たちはどう生きるか」の中で、自分達が越えられなかった一線を越えたからこそ生まれて来たニューエイジたちの才能を理解できるまでになった事を表現しています。

 

 ただ、そんな紙芝居のような日本初のTVアニメでも、当時の子供(ニューエイジ)たちは熱狂し、今日のマンガやアニメという日本が世界に誇るコンテンツを作り上げ、発信するまでに成長させたその起源で有る事は紛れもない事実です。それを否定する事は出来ません。

 

 インコ大王が世に送り出した「日本初のTVアニメ」が有ったからこそ、今の日本アニメがあるんですね。

 

 今回のアニメ「君たちはどう生きるか」の制作にあたり、宮﨑 駿はその部分を少しは認めたのではないでしょうか…そう私は思います。

 

 そして、そんなニューエイジたちを考察するには「眞人の母・ヒサコ(ヒミ)と義母 夏子の正体」を考察していく必要があります。

 

 今回、インコ大王も大好きだと言う方々とシェアできたら幸いです!